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2007.12.11

カラカサオバケの憂鬱

カーニバル最終日。
どこもかしこもお祭り騒ぎ。

祭り囃子って、どこか寂しい。
楽しいんだけど、何故か寂しい。
本当は一緒に踊りたいのに。
破れ傘から飛び出した足が一本じゃダメ?
下駄だって、こんなに似合っているのに。

そういえば、この曲、知っている。
「黒いオルフェ」
遠い昔に聴いたことがある。
映画のタイトルだったか。
あるいは曲のタイトルだったか。

綿飴を持った女の子がこっちに来る。
隠れなきゃ!
本当は友達になりたいのに。
鼻緒が気になるの?
慣れてしまえば大丈夫だよ。
一緒に踊ろうよ、って言えたらいいのに・・・。

薄い壁越しに、
隣の部屋からギターの音が聞こえてくる。
悲しげな旋律。

サンバのリズムにかき消されそうだけど、
妙に耳に響いてくる。

この曲、好きなんだよね。
特に、太鼓がドドンっと鳴った後に続く
笛の調子が。

躍ったらニンゲンに見つかってしまうかな?
でもいいや。
だって躍りたいんだから!

2007.12.10

海の中:歩行者用

その場所は夜になると真っ暗になるのです。
横断歩道があって、信号もあるんだけど
車も滅多に通りません。

本当は
信号なんてつけなくてもよかったのかもしれません。
あるいは
昼間通学する子供達のためについているのでしょうか。
いずれにしても
夜の信号は退屈そうに
暗闇の中で「ぼう」と光っていたのです。

歩行者用の押しボタンを押します。
「ほら、仕事だよ?」
信号たちは、にわかに気ぜわしくなってきます。

空気の色が変わります。
日頃見慣れているはずの青い光は、
赤い暗闇を一変させたのです。

「海の中、みたいだね」

つかのまの海中散歩。
そして空気はもとに戻っていきました。

2007.12.8

メーテルリンク錠

道ばたに白いタブレットが落ちていました。

よくよく辺りを見渡すと、
ここにも。あそこにも。

アスファルトの上だったので、
小さな白い粒も何とか見つけることができます。
誰かが落としてしまったのでしょうか。

チルチルとミチルを家まで導いたパンのかけらのように
帰路の目印になっているのでしょうか。

それとも、
誰かをどこかに誘っているのでしょうか?