2008.8.30
海辺の廃墟で
髪を切られた。
夢の中で。
静かな白い空間だった。
華やかだった時代もあったのだろうか?
ゆったりと天井の高い広い部屋。
でも、どこか雑然としている。
埃っぽくはない。
生命を感じない空虚な場所。
海が見える。
波の音は聞こえない。
聞こえるのはハサミの音。
何かを確かめるように、ゆっくりと。
ハサミを持つ人の印象は散漫。
男だったのか?
女だったのか?
そもそも「人」だったのか?
穏やかな雰囲気だけは覚えている。
部屋には鏡はない。
白い空間に私の髪が散らばっていく。
誰かが来るのを恐れていた。
その場の均衡が崩れてしまうからだろうか。
時が動き出してしまうからだろうか。
差し込む光は柔らかだった。