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2006.11.27

陽光の音色

という楽器がある。
「ふやーーうぁ〜」という感じの音で
複数の音程の音を同時に奏でることが可能。
その音色は「陽光が差し込む感じ」を表現しているという。

* * *

ダニ・カラヴァンの「シャルル・ドゴールの遊歩道」の作品のデータより。

素材:
陽光、水、培養土、草、木、風、木、ブルー・アスファルト、白コンクリート、鉄、レール、ガラスの立方体、文字

リストの最初に「陽光」を挙げている。
「この作品は太陽の光を受けてはじめて完成するのさ」
そんな意図が感じられる。

この作品以外にも、様々な彼の作品の中で「陽光」は使われている。

たしかに、彼の生み出すシンプルな形状は

太陽の光をあびて
それもかなり強い日差しの元で、
光と陰の強烈なコントラストをまとうと
実に良く映える。

* * *

ニュートンはプリズムを使って陽光を分析した。

一見、無色透明で

物体にあたると濃い影を発生させるその光には
様々な波長(=色)が含まれることを実証してみせた。

虹も青空も夕焼けも、
陽光が含む様々な色が生み出しているのだ。

* * *

話を「笙」に戻そう。

その音色を「陽光」と感じた我々のご先祖は

(もしかしたら日本人としてのご先祖ではないかもしれないけど)
「太陽の光には様々な波長(→色→波→音程)が含まれる」なんてことは
知らなかったのではないか。

「なんとなく、おひさまの光みたいな音だね」

一人の素晴らしい感性を持った人物の一言から、
陽光の音色を表現できる楽器として
語られるようになったのかもしれない。

波長云々は別にしても
笙から奏でられる音からは、
竹林の葉の隙間から降り注ぐ太陽の光を感じる。

* * *

「笙の音は陽光の音」
含まれる波長の多様性を知ってか知らずか、
そう表現したイニシエの人の感覚は、実に素晴らしい。