akiyo.jp

2006.5.22

色の匂い:かさねいろ

色に匂いがある、という感覚。なんとなく、分かるような分からないような。その色から連想されるモノの匂いかな?なんて想像してみたり。

「重色目(かさねいろめ)」という言葉をご存じですか?平安時代ごろに確立された日本独自の配色法です。

私たちが使う色には、それぞれ名前がついています。赤・青・黄色といったシンプルなものから、Faber Castellの色鉛筆につけられた名前のような凝った名称まで。「#ff6633」「C50 M70 Y10 K0」なんて記号を使う場合もあります。

単体の色に名前がついているのは、すでに慣れ親しんでいることなのですが、「重色目」では色の組み合わせ方に名前がついているのです。なんともウツクシイではありませんか!

例えばこれは「紅梅(こうばい)」という重色目。
紅梅(こうばい)

実際の紅梅の色よりも濃く感じますが、それでも「ああ、梅だなぁ」と感じる組み合わせです。ちなみに図の右側を「表色」、左側を「裏色」と呼んで、衣服の配色に用いていたようです。

そして、これが「紅梅匂(こうばいのにおい)」。
紅梅匂(こうばいのにおい)

上の色よりも淡い色を用います。淡い色を「匂い」と表現!・・・ウツクシすぎます。私たちのご先祖様方の素晴らしい感覚に脱帽です。手元の辞書にも「匂い:同色の濃淡によるぼかし」と載っています。知りませんでした。

ただし「匂」とという言葉は、同系色の濃色から淡色への変化を表す場合と、表色と裏色の関係を表す場合があるようです。そういえば、紅梅と紅梅匂では濃淡の位置が逆になっていますね。